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コモロのウルトラ出産と呪術:花渕馨也

カテゴリー[ 行ってきました話 ] 2008/03/30

03月29日【札幌】文化人類学会/北海道民族学会 研究会 「医療人類学の近未来を語る」
花渕馨也(北海道医療大学)
「病いの偶発性とプラグマティズム−医療人類学に未来は語れるか?」


ツッコミが入ると → 『 面白いリアクションをなさる 』 花渕馨也氏。

◆左表紙
 『医療人類学のレッスン 病いをめぐる文化を探る』 池田 光穂, 奥野 克巳 (編さん)  学陽書房 (2007/10)

花渕馨也(はなぶちけいや)
担当章:Lesson4 「憑依 一病める身体は誰のものか?一」
 1 新しい自己の物語
 2 イニシエーションとしての憑依治療儀礼
 3 病気経験における身体と自己
 4 狐憑きと近代
 5 身体にとり憑かれたわたし

1967年北海道生まれ
一橋大学大学院博士後期課程修了、現在北海道医療大学大学教育開発センター准教授
*南仏マルセイユにはコモロ人難民が大勢住んでいる。郊外にある貧困層が住む団地はまるでコモロの村のようだ。その団地の一室で昼間から女性たちが集まり憑依儀礼を行なっている……。最近はそんな調査も始めています。


 やっぱりドサンコだったか。w
 花渕馨也氏は北海道人気質だと見ていいだろう。

... 以下つづき...

...
 北海道人気質: → 『 北海道的文化心理 』

 当日は、「病いの偶発性とプラグマティズム−医療人類学に未来は語れるか?」というお題を設定しておきながら、医療人類学などどうでもいいのだとケツをまくってお尻ペンペンするわ、医療民俗の見聞報告どまりで人類学してない話でお茶を濁しっぱなしにするわ、めちゃ面白い。北海道民族学会のマスコットキャラにするといいんじゃないか。

 リンク コモロ連合
 マダガスカルとアフリカの間に点々とする島国。
 インド洋のコモロ諸島のグランドコモロ島(ンジャジジャ島)、アンジュアン島(ヌズワニ島)、モヘリ島(ムワリ島)で構成される。


 彼の話の大半は、コモロの友人がお産の時にエライ目にあって大変だったんだよ、面白いでしょ、というもの。
・緊急に帝王切開せんならんのに、国立病院に医者がいない。
・政治がワヤなので医者がストライキ中なんだと。
・腹裂くんだから、せめて麻酔医だけでもと看護婦がタクシーで麻酔医を捜しに出る。
・水も、綿も、薬も、なんも病院にないので、全部患者側が近所の薬屋で買ってこなければならない。
・メスもない。ひげ剃り用カミソリを買ってきて間に合わせる。
・6ヶ月の超未熟児早産。
・その女児は、足に障害が残る。

 そこにおまけで「友人宅における穢れの原因解釈」についてのエピソードが付け加えられる。
 ・当初は「**によって呪術をかけられたので災厄が降りかかったのだ」と解釈され、なんとかその邪術を払って、子の足を治そうといろいろ試行錯誤を重ねる。
 ・そのうち、「何をやっても効かないから原因は別にある」とシフトし、「旦那の浮気相手が邪術をかけている」という物語に変節した。

 で、その報告、見た目はそうかもしれないが、その裏の機序は全然とらまえられていないような講釈。
 呪術・邪術の位置は、昔からそうだったのか。別の社会からの借り物が定着した、というような経緯はなかったか。
 夫婦間の関係性が変化したゆえに(失業中)、「旦那のせい」という意味合いがしっくりくるようになった部分はないか(妻が積極的にその解釈を支持してはいないか)。
 「病院」が登場する前は、彼らはお産はどうしていたのか。災厄の原因を病院に求めるナラティブが形成されなかったのはなぜか。
 彼らの場では、「福子・忌み子」のような、立場の転換が見られることはないのか。
 ただ観察することをよしとするばかりで、解釈への踏み込みはないのだろうか。友人の子の立場を福子に転換しようとするような、オイタの選択肢は採られないのか。文化人類学者はトリックスターをやらないのか。異端としての力を行使しないのか。
 力の行使は帝国と同義よばわりされるとかあるのか。

 このような疑問は、たいがい一晩寝て起きてから沸いてくる。
 集会のその場では、目前の花渕キャラが面白すぎて思考がまとまらず。hyaaa

●●●○●●●

追記:2008/04/07 
◆ 文化人類学のレッスン
追ってこの本を拝読。
『文化人類学のレッスン フィールドからの出発』 奥野 克巳, 花渕 馨也 (著) 学陽書房 (2005/04)

 この中の担当章「宗教と呪術」で、花渕氏はコモロの医療/呪術についてひとしきり「語るべきこと」を簡潔に記しており、上掲の疑問の半分は解決する。医療とは別の落としどころにある行為である、というだめ押しもちゃんとなさっている。
 では、なぜこの方向の語りをせず、あの場では「病院の物資・人材払底がすごかったんだよ」という話をメインにもってきてしまったのか。良さが全然というか、なんで彼はあの場でケツまくっていたのか。ケツまくることによって、彼は何を守ろうとしていたのか。どういう戦略があったのかなかったのか単なるだだっこか。
 だだっこに留まらない、なんかけっこうウラにややこしいものが(科学ではないややこしさ)がトグロを巻いている???


[カテゴリ 行ってきました話] : 2008年03月30日 
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