脳科学から広告・ブランド論にリベンジ

カテゴリー[ 書籍メモ楽屋用 ] 2007/11/26

◆左表紙

 『脳科学から広告・ブランド論を考察する』
 山田理英 (著)
 評言社 (2007/02)
 [ Amazon ] [bk1]


 一般向けじゃない。読みづらい。
 広告業界人や広告クライエント、広報担当者など、特定の業界人「のみ」を対象にしたような業界書。
 業界紙での連載だったのか?と思うような、妙な半端さが鼻につく。
 広告、宣伝、戦略、測定に、「脳科学」はこう言っているから「脳科学」に従えば違う話が見えるんじゃないか、といろいろああでもないこうでもない、とむやみやたらに話を試してみるのだが、いかんせん著者は脳科学素人のアートディレクターさん。論理よりは感性の人だからか、説得力や論理的帰結より「ひらめき書き」が強めに出る。
 一言で言うならば、
  【おぼつかないが貪欲】
な本。貪欲さはスゴイと思う。

 この本で著者が主張したいことは、
【今まで広告の効果は「注目率」でしか評価されてこなかったけれど、「注目率」は宣伝効果を示してないじゃないか! 「注目率」がダメでも「広告情報理解率」が高い広告はこんなにあるぞ! 「広告情報理解率」を測定せずして広告をダメだと言うなよ!】
これだけじゃないのか。これだけを言いたくて、一冊書いたんじゃないのか。そこにかこつけるために、囓ってきたばかりの「脳科学」も、ぺたぺた張り付けてみた。そんな読後感。

 読後感といえば。
 広告業界はマジ『「注目率」だけで宣伝効果を測定する』という恐ろしいほどの旧態然な錯誤の中、平気で盲進していたのかよ!というたいへん腰砕けなダメダメ感にも襲われる。
 広告業界はこれだけの大金を左右しておきながら、宣伝効果をまともに調べることもやってなかったのかい!
 たぶんヤレているんだよ、というナァナァな気分評価の中にいたんかい!
 効果測定こそ、最大に大事なキモであろうのに、旧時代の慣習の延長、気分でやっていたんかい!

 TVCMでやりがちな、「視聴率=効果」とする時代錯誤、それと同じような錯誤が、TV以外でも普通に広告業界ではまかり通ってしまっている・・・???
 → 2007/11 『 CMの覚えが悪くなるのはどんなとき 』

 で、直感では「効果がある」と睨んでいても、「注目率」基準では悪成績呼ばわりされる、そんな不当な扱いをされて煮えていた感性ディレクターからのリベンジ。
 それがこの本なのかな?

 脳科学は使えるのではないか、という希望的観測であと本書の内容は水増しされているが、そのあたりは脳科学の入門者が記したようなレベルでおぼつかない。とはいえ、脳科学素人の業界人さんたちが読むぶんには、新鮮で妄想刺激されまくりな、グイグイ来るできばえなのかもしれない。

p.76、アンリツが分析した広告効果の話のくだり、「これ以上は企業秘密で記すことができない」と伏せられていたり、・・・ちょっと一番オイシイであろう部分は、大人の事情で書けずじまいだったような気配もある。

 業務上、広告・宣伝に関わるポジションにいる人にはオススメ。

〓クール〓

追記:

2007/11 【日本語記事】 R25 脳の研究から導き出される驚愕の新マーケティング論
ニューロマーケティング
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000004-rec_r-bus_all

テレビ制作者が気にするのは視聴率、それだけです。CMが見られているかどうかは気にしません。
 〜2007/12 【日本語記事】多くの視聴者が不愉快と感じる「山場CM」、なぜ続く? goo ニュース


 →【記事庫】 経済・消費行動特集





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