中国の蠱毒と日本の憑きもの筋

カテゴリー[ 書籍メモ楽屋用 ] 2007/08/06

◆左表紙

 『中国の〈憑きもの〉 華南地方の蠱毒と呪術的伝承』
 川野明正著
 風響社 2005/03


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 中国に伝わる・実践された、憑(つ)きもの習俗についてのご本。

 なにせ蠱毒(こどく)がメインキャストですよ。サブタイに蠱毒ですよ。
 いろいろな習俗が蠱毒に連なるものとして挙げられているけれど、いわゆる「壺の中で共食いをして勝ち残った一匹がどうの」というたぐいよりは、日本の「イヌガミスジ」「オサキモチ」などに近い、憑きもの筋のほうが大勢を占める感じ。
 他家の財物を盗み富をもたらす、特定の家系に取り憑く怪異。
 …この手の系譜は、日本では「貨幣経済が脅かす地域のバランス」や「閉じた系である地区内で富が偏在することへの畏怖」のような読み解き方をされてはいなかったっけか。
   ●ネット 憑霊信仰論

p.9 現在、日本の憑きものに関する民俗学的研究は、小松和彦氏以降、目立った進展がみられるとは言い難い

 ええっ、そうなのか。

 古代中国で恐れられた蠱毒「壺の中で共食いをして勝ち残った一匹がどうの」に極めて近しい怪異習俗は、日本の讃岐地方に「トンボガミ」として伝わっているという。
 ※ トンボ神はヘビ型の憑きものトウビョウの、讃岐地方での呼称
 ●ネット トンボガミ
 …遍路の迷宮たる四国には、イヌガミ憑きのメッカもあるよね。

 このあたりについて述べてある部分は、本書から引用するまでもなく、ウェブ上に「前言」まるごと公開で置いてある。読みがいあり。
 ●ネット 風響社の「中国の〈憑きもの〉」紹介

 機能的に見れば、沖縄のイチジャマ(生き霊)も、憑きもの筋の系譜に入れうるらしい。

 「蠱惑」という語は、蠱毒の”薬効”で人を誘惑する術からきているとのこと。広い意味での呪術として、蠱が機能していた、というか、そこの文化相では蠱の原理がすべての マナ・消失点として世界とともにダイナミックに機能していたというか。

 中国「華南地方」の古きマナと世界観が、日本にもしっかり定着し息づいている、そんなおつながりの闇っぽい深さがたいへん味わい深い。




メタル


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